ヒマなのでブラックジョークでも書きましょう。
先日、公共スペース向けに新しい無線LAN環境を整備する相談を受け、セキュリティ面と利便性を両立できる「Enhanced Open(OWE)」という規格を導入しました。これは、パスワードなしでWi-Fiに接続できるのに、通信はしっかり暗号化されているという画期的な技術です。
ところが──ここからが本題です。
「パスワードなしでも安全です」と利用者に案内した瞬間、その場の空気がピリつきました。
ある年配の利用者が言いました。「パスワードもかけてないWi-Fiなんて、危険に決まってる!これは詐欺かウイルスの罠だろ!」と。
いやいや、暗号化されてますって…と思いつつ、OWEの説明を始めようとしましたが、逆効果でした。
「暗号?あんた何者だ?なんでそんなに詳しいんだ?」
と不審者扱いされ、ついには「怪しい人物が通信を盗聴しようとしている」と通報されてしまいました。
10分後、制服姿の警察官が登場。
「お話を伺ってもいいですか?」
事情を説明するも、警察官も「パスワードがないのに安全って、どういうこと?」と完全に疑いの目。
スマホで技術資料を見せても、「いや、ちょっと交番で詳しく聞かせてもらえますか」と。
結局、交番で1時間ほど、OWEとEnhanced Openの違い、WPA3との関係、暗号鍵の生成方法まで説明する羽目に。
ようやく誤解が解け、「いやぁ、そんな技術があるんですね。でももう少しわかりやすく説明した方がいいですよ」とアドバイスをもらい、無罪放免。
その日、強く実感しました。
「パスワードなし=危険」の固定観念は、技術よりも強い。
Enhanced Openは間違いなく良い技術です。でも、利用者の“感覚”を変えるには、説明の順番と表現がとても大事。
「このWi-Fiはパスワード不要ですが、最新の暗号技術で通信は保護されています」
くらいのやわらかい表現にしないと、まさかの拘留コースです(笑)
みなさんも、新しい技術を導入する時は、セキュリティだけでなく“心理的セキュリティ”も設計してください。