※この記事は2019年に書いたものを、2026年4月にリライトしました。
読む前に深呼吸してください。怒らないようにするのは難しいかもしれませんが、最後まで読んでほしい話です。
京都府木津川市が議会の議決を得ずに事務用パソコンを購入していたというニュースがありました。問題は議決を取っていなかったことだけではありません。購入単価を計算すると、1台あたり19.6万〜25.1万円になります。
もう一度言います。
事務用パソコン1台に25万円です。
この金額がどこから出ているかというと、木津川市民が払った税金です。
事務用パソコンの適正価格をご存じですか
わたしはパソコン修理屋として16年以上、毎日パソコンの価格と向き合っています。事務用パソコンに何が必要か、いくらで買えるかを誰よりも知っています。
事務用パソコンの用途を整理します。メールを送る、Excelで集計する、Wordで文書を作る、インターネットで調べる。これだけです。この用途に必要なスペックはCore i7、メモリ8GB、SSD1TB、Office Business付きです。遅くて仕事ができないとは言わせない、十分すぎるスペックです。
この構成のパソコンの市場価格は10万〜14万円です。量販店でも、ネット通販でも、この価格帯で買えます。
役所が100台以上まとめて購入する場合、法人向けの合い見積もりを取るのが普通です。数量が多いほど単価は下がります。つまり市場価格より安くなるはずです。
それがなぜ25万円になるのか。誰か教えてください。
差額を計算してみましょう
適正価格との差額を計算してみます。
1台あたりの過剰支払いは9.6万〜14.1万円です。購入予定台数は112〜239台です。
最小で計算すると112台×9.6万円=1,075万円の過剰支払いです。最大で計算すると239台×14.1万円=3,369万円の過剰支払いです。
1,075万円から3,369万円。この差額はどこに消えたのでしょうか。
業者が儲けているのでしょうか。業者から誰かへのキックバックがあるのでしょうか。役所の中の誰かが受け取っているのでしょうか。わたしには証明できません。でも適正価格の倍近い金額で契約が成立している場合、その差額がどこかに流れていると考えるのは自然なことだと思います。
合い見積もりを取っているはずなのに、なぜこの価格になるのか。複数の業者から見積もりを取れば、10〜14万円という数字は必ず出てくるはずです。それが25万円になるということは、見積もりの相手も同じような価格を提示しているか、そもそも適切な競争が行われていないかのどちらかです。
これで議決も取っていなかったというのですから、開いた口が塞がりません。
「保守が大変だから高い」という言い訳は通用しません
こういう話をすると「保守費用が含まれているから高いんだ」という反論が来ます。
保守の話をしましょう。100台以上のパソコンの保守業務とは何をするのか。リモートサポート、故障対応、定期メンテナンスです。今の時代、リモートサポートが主流です。わざわざ現地に行かなくても解決できることがほとんどです。ソフト関係は別の業者が別予算で担当しているはずです。
保守が大変だと言う業者がいるとすれば、それは経験と知識が足りないからです。経験のある業者にとって100台規模の保守は、決して不可能な作業量ではありません。大変だから高いと言う業者には、税金を使った仕事を受ける資格がないとわたしは思っています。
技術力のない業者が税金で仕事をして、適正価格の倍の報酬を得る。こういう構造が続く限り、地方の中小企業には仕事が回ってきません。
この構造が日本のパソコンメーカーを滅ぼしました
もう少し大きな話をします。
NECのLAVIEが1台25万円、富士通のFMVが1台20万円。こういう価格で公共機関に納品し続けてきた時代がありました。日本のメーカーは高く売れる公共機関向けの販売に慣れすぎて、コスト競争力を失いました。
その間に台湾・中国・韓国のメーカーは品質を上げながら価格を下げていきました。Lenovoは低価格で市場を奪い、DellとHPはコストパフォーマンスで勝負しました。
結果はどうなったか。NECはLenovoに買収され、富士通もLenovoに買収され、東芝はホンハイに売却されました。日本のパソコンメーカーは事実上全滅しました。
公共機関への高額納品で甘い蜜を吸い続けた結果、世界市場での競争力を完全に失ったのです。こんな商いをしてきたから日本のPCメーカーは世界から淘汰されたとわたしは思っています。自業自得です。でも一番損をしているのは、高い税金を払わされ続けた市民です。
弱小民間企業からの叫び
当店は役所の仕事を一切受けていません。これからも受けません。
入札の手続き、書類の準備、担当者との調整。これだけの手間をかけて、結局選ばれるのは既存の取引関係がある業者です。新規の中小企業が価格で勝負しても、実績がないという理由で弾かれます。公平な競争など存在しません。
それでも税金は取られます。わたしが払った税金の一部が、25万円のパソコン購入に使われているわけです。これは腹が立ちます。
適正価格で購入すれば浮く3,000万円以上の予算で、木津川市の市民のために何ができるか考えてほしいのです。保育所の設備を整えることができます。道路を直すことができます。高齢者の支援に使うことができます。それをパソコンの過剰支払いで消えさせているわけです。
この国は弱小民間企業が声を上げても簡単には変わりません。でも声を上げ続けることはできます。熊本市の小さな修理屋でも、こうやってブログに書くことができます。そしてこれを読んだあなたも声を上げることができます。
木津川市民の方は声を上げてください
木津川市民の方に伝えます。これはあなたの税金です。おかしいと思うなら声を上げてください。
木津川市のホームページには「市長の部屋」というページがあります。市長に直接意見を届けることができます。以下のリンクから市長へのご意見・お問い合わせフォームにアクセスできます。
また、総務課への直接の問い合わせはこちらです。
「パソコンの購入価格が高すぎる、適正価格で購入してほしい」「議決を得ずに購入した経緯を説明してほしい」という声を直接届けることができます。市民が黙っていれば何も変わりません。声を上げてください。


