※この記事は2014年に書いたものを、2026年5月にリライトしました。
パソコンが起動しなくなったと、60代の男性がご来店されました。「データだけでも取り出してほしい」とのことでした。
10年ほどバックアップ用に使っていた外付けHDDが突然認識しなくなったとのことです。月に1回だけ接続してバックアップを取っていたそうです。丁寧に使っていたんだなと思いました。
カシャンカシャンという音がしたら、当店では復旧できません
その場で確認すると、カシャンカシャンという音がしていました。これは、当店では絶対に復旧できない音です。
HDDは精密機器です。内部に磁気ディスクが回転していて、ヘッドと呼ばれる部品がそのディスクに触れないギリギリの距離でデータを読み書きしています。その距離は髪の毛の100分の1ほどと言われています。経年劣化や衝撃でヘッドがディスクに接触すると、カシャンカシャンという音が出ます。この状態で通電し続けると、ディスク表面が傷つき、データが物理的に破壊されます。
専門の復旧業者に依頼すれば可能性はゼロではありませんが、費用は数十万円になることがあります。それでも100%取り出せる保証はありません。
HDDの寿命は5年です
「HDDって壊れるんですか?」とお客様が聞いてきました。壊れます。寿命は大体5年です。10年使えたのはむしろ運が良かった方です。
「バックアップしましょう」というスローガンを聞いたことがある方も多いと思います。あれはこういう事故を防ぐためです。ただ、バックアップ先も外付けHDDでは意味がありません。HDDはいつか必ず壊れます。2014年当時からわたしはクラウドへの保存を勧めていました。クラウドに保存しておけば、端末が壊れてもデータは残ります。
データは取れませんでした
結果として、データは取り出せませんでした。お客様がとても落ち込んでいらっしゃいました。10年分のデータです。修理屋としては「直せなくて申し訳ない」という気持ちになります。でも技術的にできないものはできない。わたしにできることは、その気持ちに寄り添うことだけでした。
後日、お客様がビールの缶を2セット持ってきてくれました。
わたしは酒を飲みません。
【2026年5月追記】予測は当たっていました
この記事を書いたのは2014年のことです。当時クラウドを勧めると「難しそう」「信頼できるの?」という反応が多かった。12年経った今、クラウドは主流になりました。外付けHDDはほとんど使われなくなり、NASも一般家庭ではほぼ見かけなくなりました。わたし自身、仕事もプライベートもデータはすべてクラウドに保存しています。顧客データだけは紙媒体ですが。
外付けHDDをまだ使っている方は、今すぐクラウドへの移行をご検討ください。5年以上経過したHDDは、いつ同じ音を出してもおかしくありません。
外付けHDDの異音・データ復旧はパソコン本舗にご相談ください。


