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セキュアブート証明書の期限切れ問題、本当に怖いのはそこじゃない【PC修理屋の本音】

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secure-boot パソコン豆知識

2026年6月にWindows 11が起動不可能に?「セキュアブート証明書の期限切れ」が招くリスクと対処法(@IT)

読んだ瞬間、思いました。

「あ、またか」と。

まず、何が起きるのかをざっくり言うと

Windows11には「セキュアブート」というセキュリティ機能があります。PCが起動するとき、「このソフト、本物ですか?」と確認する、いわば門番みたいなものです。

その門番が持っている「身分証」の有効期限が、2026年6月に切れる。

だから更新してくださいね、という話です。

対応は基本的にWindowsUpdateで自動で終わります。PowerShellというツールで確認もできます。難しくない。


じゃあ何が問題なの?

問題は記事の前提です。

この話、「Windows11に対応しているPC」限定の話なんです。

でも世の中には、Windows11の要件を満たさない古いPCが大量に存在します。うちにくる相談の半分以上が、そういうPCを使っている高齢者や一般の方です。

非対応のPCは、そもそもこの更新フローに乗れない。証明書どうこうの前に、別の話をしなければいけない人たちです。

記事はそのあたりをさらっと飛ばして、「対応しましょう」と書いている。

誰向けに書いているのか、最後まで読んでもよくわからない。


本当に怖いのは別のところにある

「セキュアブートを無効にすると危ない」と記事には書いてあります。

マルウェアが入り込む、起動前にウイルスが仕込まれる、と。

……では聞きます。

セキュアブートが無効だったことで実際に被害を受けた人、何人いますか?

警察庁のデータを調べました。

サポート詐欺、つまり「ウイルスに感染しました」という偽の画面を出して電話させてお金をだまし取る詐欺、これだけで2023年度に被害件数1,459件、被害総額約4億7,000万円

一方でセキュアブートが無効だったせいで被害が出た件数は?

公式記録にゼロ。

セキュアブートのリスクは「理論上そういう攻撃ができる」という話であって、実際の被害統計に出てこない。

でもサポート詐欺は今この瞬間も、高齢者の画面に「ウイルスが検出されました」と表示させ続けています。

リスクの大きさが、まるで違う。


なぜこういう記事が生まれるのか

意地悪な見方をすれば、こういうことです。

不安を煽ると記事が読まれる。読まれると広告収入が入る。セキュリティソフトのアフィリエイトリンクが貼ってあれば、クリックされるたびに収益になる。

「危ない、怖い、対応しなきゃ」という感情を刺激するほど、数字が上がる仕組みです。

それが悪いとは言い切れません。でも、「本当に読者の役に立つ情報か」と「バズる情報か」は、必ずしも一致しない


じゃあ結局どうすればいい?

Windows11対応機を使っている方は、WindowsUpdateを普通にかけてください。それだけです。

PowerShellで確認したい方は以下のコマンドを管理者権限で実行して「True」が返ってくればOKです。

[System.Text.Encoding]::ASCII.GetString((Get-SecureBootUEFI db).bytes) -match 'Windows UEFI CA 2023'

Windows11非対応の古いPCを使っている方は、この話は関係ありません。それより先に考えることがあります。Windows10のサポートは2025年10月に終わっています。そちらの話をしましょう。


最後に

「セキュリティの話」は怖く書けば書くほど読まれます。

でも実際に皆さんの生活を脅かしているのは、画面に突然現れる「ウイルス感染」の偽警告と、そこにかかってくる電話です。

セキュアブートの証明書より、その電話を切ることの方が、今日の安全につながります。

怪しい画面が出たら、まず電源を切る。電話はしない。それだけで4億7,000万円の被害の大部分は防げます。

難しい話より、シンプルな話の方が命を守る。

PC修理屋として、それだけは言わせてください。