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「DOSの頃からやってる」おじさんの  パソコンに高速化ソフトが3本入っていた話

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ガンガンガン速 パソコン豆知識

「俺はDOSの頃からパソコンをやっているんだよ」

こう言って持ち込まれたパソコンは、決まって何かがおかしい。

16年修理屋をやっていると、そういうジンクスみたいなものが身についてくる。悪口を言いたいわけではない。ただ、統計的な事実として、そういう傾向がある。

そのおじさんもそうだった。

「最近パソコンが遅くてな。高速化ソフトを入れたんだが、余計遅くなった気がして」

起動してみる。確かに遅い。画面が立ち上がるまでにコーヒーが一杯飲めそうなくらい遅い。タスクマネージャーを開くと、見覚えのないソフトが裏でこっそり動いている。高速化ソフトだ。しかも1本ではなく、3本入っていた。

「3本入れたんですか」

「効果がないから、追加で入れた」

なるほど。


高速化ソフトというものがある。「パソコンを速くします」と謳って販売・配布されているソフトだ。広告でよく見かける。「今すぐダウンロード」というボタンが付いていて、見た目もそれらしい。

ただ正直に言う。

現代のパソコンに高速化ソフトは不要だ。むしろ逆効果になる。

Windows98やMe全盛期の頃、パソコンの性能はギリギリで動いていた。CPUもメモリも今とは比べ物にならないくらい貧弱で、レジストリをいじったり、常駐ソフトを削ったりすることで体感速度が変わった時代があった。TweakUIや窓の社といったツールが人気だったのはその頃だ。

しかし今は違う。Windowsそのものがすでに最適化されている。安いモデルでも処理能力は十分すぎるくらいある。そこに高速化ソフトを入れると何が起きるか。そのソフト自体がバックグラウンドで常時動き続け、CPUとメモリを消費する。最適化するどころか、余計な荷物を背負わせているだけだ。

売っている側はそれを知っている。知った上で売っている。「パソコンが遅い」と悩んでいる人が買ってくれればそれでいい、というビジネスモデルだ。


話を戻す。

3本まとめてアンインストールした。再起動する。起動時間を計ると、半分以下になった。体感でも明らかに速い。

おじさんの反応は、正直微妙だった。

憮然、という言葉が一番近い。「俺が間違っていた」とは言いづらいのだろう。DOSの頃からやっている、というプライドがある。その気持ちはわからなくもない。

数日後、電話があった。

「あれから調子いいわ。ありがとう」

それだけ言って切れた。短い電話だったが、私はそれで十分だった。


最後に一つだけ言わせてほしい。

パソコンが遅いと感じたとき、高速化ソフトを入れる前にやるべきことがある。

再起動だ。

それだけで解決することが、修理屋に持ち込まれる「遅い」案件の3割はある。次に不要なソフトのアンインストール。それでも遅ければ、メモリの増設かSSDへの換装を検討する。

高速化ソフトは、その選択肢のどこにも入ってこない。

「パソコンは難しい」と思った瞬間、狙われる。修理屋として、それだけは覚えておいてほしい。