「データが全部消えた」と慌てて来店されたご年配のお客様。消えていなかった話
「データが全部消えてしまったんです。何もしていないのに」
慌てた様子でご来店されたのは、ご年配のお客様だった。
画面を見る。デスクトップが真っさらだ。いつものアイコンが何もない。壁紙も違う。ファイルも見当たらない。確かに「消えた」ように見える。
でもこれ、消えていない。
一目でわかった。これは一時プロファイルでログインしている状態だ。16年間修理をやっていると、画面を見た瞬間に原因がわかる症状というものがある。これはそのうちの一つだ。
「データは消えていないですよ。大丈夫です」
そう伝えると、お客様の顔がほっとした表情に変わった。
一時プロファイルとは何か
Windowsには「ユーザープロファイル」という仕組みがある。デスクトップの配置・壁紙・ドキュメントフォルダの中身・各種設定、これらは全部プロファイルという場所に保存されている。
このプロファイルが何らかの原因で壊れると、Windowsは仮の設定(一時プロファイル)で起動する。いわば「緊急用の仮住まい」で起動している状態だ。
仮住まいだからいつものデータは何もない。壁紙も違う。デスクトップも真っさら。でも本来のデータはパソコンの中にちゃんとある。読み込めていないだけだ。
この症状、実は昔のWindowsの頃から続いている由緒正しいトラブルだ。当店では昔から月1〜2件は必ず相談がある。「何もしていないのに消えた」というお客様が毎月来られる。
おっしゃる通り、お客様は何もしていない。本当に何もしていないのに突然なる。だからこそ慌てる。
解決手順
技術的な説明をする前に一つだけ言わせてほしい。
レジストリの操作はシステムの深い部分を触る作業だ。間違えるとWindowsが起動しなくなる可能性がある。不安な方は無理せず持ち込んでほしい。
以下は参考として掲載する。
Windowsキー+Rを押して「regedit」と入力してEnterHKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Windows NT\CurrentVersion\ProfileListに移動- 「S-1-5-21-」で始まるフォルダの中に、同じ番号で片方が「.bak」になっている組み合わせを探す
.bakが付いていない方を「.bad」に名前変更.bakが付いている方は「.bakを削除」して元の名前に戻す- 「State」と「RefCount」という項目を両方「0」に変更
- レジストリエディタを閉じて再起動
これで元のプロファイルが読み込まれ、データが戻る可能性が高い。
「何もしていないのに」は本当のことが多い
修理屋として16年やってきて思うのは、「何もしていないのに壊れた」というお客様の言葉は、たいていの場合本当だということだ。
パソコンは気温・湿度・電源の瞬断・Windows Updateなど、ユーザーが何もしなくても内部で変化が起き続けている。その結果として突然トラブルになることは珍しくない。
だから「何もしていないのにおかしい」という状態でご来店いただくことを、恥ずかしいとか申し訳ないとか思う必要はまったくない。そのためにパソコン修理屋がある。
画面がいつもと違う。デスクトップが真っさら。そう感じたら、まず電源を切らずにご来店ください。電源を切らない方が、データが戻りやすいケースがあります。


