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中小企業のセキュリティ対策は「役割分担」で決まる―CEO・CIO・CISOが果たすべき役割を整理する

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RKK取材 パソコン豆知識

「サイバーセキュリティ」「ガバナンス」「インシデント対応」――こういう言葉を並べると、途端に眠くなる人が多いと思います。私もそうです。

ただ、この業界に25年いると、企業のセキュリティ事故の多くは「技術の問題」ではなく「体制の問題」だと感じるようになりました。誰が何を決めて、誰が何を動かすか。その役割分担が曖昧な組織は、何かあったときに必ず崩れます。

そこで一度、水戸黄門に例えて整理してみます。

まず、登場人物の整理から

役職水戸黄門のキャラ主な役割
CEO水戸黄門会社の最終決定者・ガバナンス
CIO格さんIT戦略・セキュリティ・データ管理
COO助さん現場運営・業務プロセス改善
CISO / SOC弥七サイバーセキュリティ・インシデント対応
CMO / PR担当かすみのお新マーケティング・広報・顧客対応
CSO / IT現場担当八兵衛セキュリティの実行・現場オペレーション

セキュリティ事故が起きた日の一幕

ある朝、社内システムへの不正アクセスが検知されました。現場は騒然としています。さて、各メンバーはどう動くか。

弥七(CISO)はすでに動いています。誰も知らないうちに攻撃者のIPアドレスを追跡し、ファイアウォールの穴を塞いでいる。「敵は東南アジア経由で侵入しました。ルートは3つ。すでに2つは封鎖済みです」と、さらっと報告してきます。頼りになりますが、報告が遅い。そして説明が難しすぎて誰もよく分かっていない。これがCISOあるあるです。

次に動くのが格さん(CIO)。「セキュリティログを分析しました。フィッシングメールが起点です。昨日の16時32分に開封されています」と、几帳面な報告が届きます。正確なのですが、「で、今どうすればいいんですか」という問いには答えてくれない。技術的に正しいけれど、意思決定の判断材料にならない。これもあるあるです。

助さん(COO)はすでに現場を動かしています。「業務への影響を最小化するため、該当部署のネットワークを一時的に切り離します。復旧は2時間以内を目標にします」と即断。現場で動ける人間がいるかどうかで、被害の広がり方がまったく変わります。

一方、かすみのお新(CMO)はお客様への対応を準備しています。「プレスリリースの草案を作りました。SNSへの投稿は一時停止します。問い合わせ窓口を設置します」。外向きの動きが遅れると信頼を失います。技術の問題が解決しても、広報が失敗すると企業イメージへのダメージは残ります。

そして八兵衛(現場IT担当)。「社内の全パスワードを変更しました!」と元気よく報告してきますが、変更したことを関係者に伝えていなかったため、翌朝に誰もログインできなくなりました。現場の実行力は高いのですが、連携が抜けることがある。これも現実です。

そして最後に水戸黄門(CEO)が登場します。「皆の者、ご苦労であった。して、お客様への影響はどの程度じゃ?」と聞いてきます。各メンバーから報告を受け、最終的な方針を決める。「今回の件を踏まえ、セキュリティ研修を全社で実施する。助さん、段取りを頼む」と締める。この「最後に決める人間がいるかどうか」が、体制の有無を決めます。

結論:黄門様がいなければチームにならない

役割が明確で、それぞれが自分の領域で動き、最後に黄門様が決める。この構造が機能している組織は、事故が起きても立て直せます。問題は、日本の中小企業の多くがこの体制を持っていないことです。

「ITは詳しい人に任せている」「セキュリティはウイルスソフトを入れているから大丈夫」という会社ほど、いざというときに誰も動けません。八兵衛一人がいても、黄門様がいなければチームにならないのです。

大げさに聞こえるかもしれませんが、この体制の話は会社の規模に関係なく必要です。「うちは小さいから関係ない」ではなく、「小さいからこそ、一人が複数の役割を持つ必要がある」と考えてください。

セキュリティの相談は、技術的なことだけではありません。体制の整理から一緒に考えます。お気軽にどうぞ。