エクセルだけ使えればいいという事務員の方が、テレビが録画できて、音響が良くて、3TBのHDDが搭載された一体型パソコンを量販店で買ってきました。
これは事故です。
エクセルを使うためだけに、テレビチューナーもスピーカーも録画用HDDも要りません。値段だけ高くて、使わない機能が山盛りで、肝心のエクセルの動作は普通のノートパソコンと変わらない。修理で持ち込まれたとき、話を聞いてため息が出ました。
量販店では一番高いものを勧めろと教育されると聞いたことがあります
笑い話のように聞こえるかもしれませんが、これは実話です。
ある量販店では、お客様が来店したらまず一番高い製品を勧めるようスタッフに教育しているという話を聞いたことがあります。断られたら二番目に高い製品を勧める。守らなかったら顛末書を書かされると。
お客様が何をしたいか、何が必要か、一ミリも考えていない接客です。
でもこれはスタッフ個人の問題ではありません。そういう仕組みで動いている組織の問題です。売上目標があって、高額商品を売れば評価される。お客様の用途より、今月の数字が優先される。量販店のパソコン売り場は、そういう構造になっています。
エクセルだけ使いたいと言って来店したお客様が、テレビ録画機能付きの一体型を買わされて帰る。その構造の結果です。
何でもできるパソコンを買って、結局エクセルしか使わない
16年間修理をしていて、パソコン選びの失敗パターンはほぼ決まっています。
「何でもできる高性能なものを買っておけば間違いない」という発想で量販店に行く。店員に勧められるまま、用途に対してオーバースペックな機種を買う。家に帰って使い始めると、使う機能はメールとエクセルとインターネットだけ。テレビチューナーは一度も使わない。音響は動画を見るときだけ。録画用の3TBは空のまま。
5年後に壊れて修理に来たとき「やっぱり高いものは長持ちしますね」とおっしゃいます。長持ちしたのは製品の質が高かったからではなく、使う機能が少なかったからです。エクセルとメールしか使っていなければ、どんなパソコンでも壊れにくい。
逆に「3万円台の安いパソコンを買ったら遅くて使えない」という持ち込みも定期的にあります。安すぎるパソコンは処理速度が遅すぎて、インターネットを開くだけで数分かかる状態になります。安く買って早く壊れるより、適切な価格帯のものを長く使う方がトータルで安くなります。メール・インターネット・エクセル程度の用途なら、6〜8万円台が現実的な最低ラインです。
東芝がメガネ型端末を発売しようとした話
少し前の話ですが、東芝がメガネ型端末「Wearvue TG-1」という製品を発売しようとしたことがありました。価格は216,000円。ケーブル接続で予備バッテリーが必要で、製品説明のイラストはどう見ても昭和のハイキング風でした。
結果は発売中止です。
これを最初に見たとき、売れないだろうとわかりました。開発した現場の人も、上司も、イラストを描いた人も、全員わかっていたはずです。でも誰かが止めなかった。大きな組織では「これは違う」と言える人間がいなくなる。エクセルだけ使いたい人に一体型を売る量販店と、構造は同じです。現場の感覚より、組織の論理が優先される。
同じ時期、東芝の法人向けノートパソコンは堅調に売れていました。地味で機能も少ない。でも現場が求めているものはそちらでした。
長く使われているパソコンには共通点があります
修理で持ち込まれる中で「10年近く使っている」という機種があります。ほぼ例外なく国内メーカーの法人向けモデルです。法人向けというのは、会社で毎日8時間使われることを前提に設計されているモデルです。堅牢性が高く、熱処理がしっかりしていて、部品の供給期間が長い。テレビチューナーもありません。音響も普通です。でも壊れない。
一方で早く壊れる機種にも共通点があります。安すぎるか、機能が多すぎるか、どちらかです。機能が多いということは部品が多いということで、部品が多ければ故障する箇所も増えます。テレビチューナーが壊れる、スピーカーがおかしくなる、録画用HDDが死ぬ。エクセルしか使っていないのに、使っていない部品が壊れて修理に来る。これが一体型を買わされたお客様の末路です。
量販店に行く前に一度相談してください。お客様の用途を最初に聞くお店で話を聞きます。
パソコンの買い替え相談・機種選びはパソコン本舗にご相談ください。


