「パスワードがわからなくなって……」と、困り果てた顔でご来店されるお客様。うちに来られる方は、ほぼ高齢の女性です。
話を聞いてみると、セキュリティソフトのパスワードがわからなくなったとのこと。5〜6年前に契約していたNTTフレッツ光はすでに解約済みで、ソフト自体もとっくに有効期限切れ。つまり、今はもう機能していないソフトのパスワードを解除しにきた、という状況です。
「パスワード、どこかに書いてませんか?」と聞くと、バッグからおもむろに一枚の紙が出てきた。……一枚じゃなかった。次々と出てくる。メモ用紙、ノートの切れ端、レシートの裏。どれにもびっしりとパスワードらしき文字列が書いてある。
「どれが今のパスワードですか?」「それがわからなくて……」
そういうことか、と納得した。パスワードを変えるたびに紙に書く。その紙が積み重なって、どれが最新なのか本人もわからなくなっている。よくあるパターンです。
「定期的にパスワードを変えましょう」は、もう古い話です
パソコンや各種サービスで「パスワードを定期的に変更してください」と促される仕組みがあります。昔はそれが正しいとされていました。でも今は違います。頻繁に変えることで、今回のように「どれが正解かわからない」状態になるほうが、よほどリスクが高い。実際、強制的に変更させる仕様のアプリはごく一部で、多くは変えなくてもいいのです。
では、どんなパスワードにすればいいか。答えは単純で、自分だけが思い出せる、シンプルな組み合わせでいいのです。ペットの名前、お孫さんの誕生日、好きな食べ物と数字の組み合わせ。大文字・小文字・記号を混ぜれば十分です。
「そんなの調べればバレるじゃない!」と思った方、落ち着いてください。誰もあなたのパスワードを調べようとしていません。ハッカーが狙うのは、大量の個人情報を持つ企業のサーバーであって、一般の個人のパソコンのウイルスソフトの設定画面ではありません。資産家で、しかも特定の誰かに狙われているという事情がある方は別ですが、そうでない方が大半のはずです。
そのパスワード、何のために設定していますか?
そもそも、セキュリティソフトにパスワードを設定する目的は何かというと、同居している家族が勝手に設定を変えたり、アンインストールしたりするのを防ぐためです。対人リスクへの備えです。
一人暮らしで、自分しか使わないパソコンであれば、ウイルスソフトのパスワードはそもそも必要ありません。万が一パソコンが盗難されたとしても、ウイルスソフトの設定を守ることが最優先事項にはならないはずです。
今回のお客様も、一人暮らし。自分しか使わないパソコンでした。
ついでに確認したところ、Windowsのログインパスワードは設定なし。玄関は無施錠なのに、押し入れの中の引き出しに鍵をかけているようなものです。
今回は、わたしがパスワードを決めて設定し直してお返ししました。覚えやすくて、紙に何枚も書き直さなくていい、シンプルなものに。
パスワードで困ったとき、パソコンのセキュリティ設定を見直したいとき、パソコン本舗にご相談ください。

