50代の女性のお客様だった。自営業で、毎日パソコンを使っているという。持ち込まれたのはWindows11のノートパソコン。来店されるなり、こう言われた。
「突然、青い画面が出るようになって。電源を入れるたびに出てくるんです」
ブルーバックだ。正式にはブルースクリーン・オブ・デス(BSOD)。パソコン修理の現場では定番のトラブルだが、お客様にとっては「突然パソコンが壊れた」と同義だ。恐怖だと思う。
そしてすぐに付け加えられた。
「初期化だけはしたくないんです。古いソフトが入っていて、それが使えなくなると仕事が困るので」
なるほど。「直してほしいが、中身は消すな」というやつだ。
何が起きていたか
詳しく聞くと、少し前に古いソフトをインストールしたところ、その直後からブルーバックが出始めたという。原因の見当はついた。古いソフトのドライバーがWindowsと競合したか、システムファイルが一部壊れたか、あるいはその両方だ。
パソコンを預かってエラーコードを確認する。ハードウェアの故障ではないことを確認した。問題はOS側にある。メモリもストレージも生きている。つまり、ソフトウェアの問題として対処できる可能性がある。
修理屋として思ったこと
正直に言う。ブルーバックが出たら、初期化してしまうのが一番早い。原因を一つひとつ潰していくより、まっさらにしてしまったほうが時間も費用も少なくて済むことが多い。それが現実だ。
ただ、「初期化したくない理由」がはっきりしているなら、できる限りやるのが仕事だと思っている。自営業で古いソフトが業務の核心にある状況は珍しくない。そのソフトがWindows11に対応していない、メーカーがすでに存在しない、ライセンスキーが手元にない。そういう事情を抱えたまま使い続けているお客様は多い。文句を言っても仕方ない。やるだけだ。
セーフモードでの起動を試みた。起動した。次にシステムの復元を実行した。問題のソフトをインストールする前の時点に巻き戻す作戦だ。復元ポイントが残っていたのは幸運だった。
結末
復元後、通常起動を試みたところ、Windowsが正常に立ち上がった。古いソフトも問題なく動作することを確認して、お返しした。
「本当によかった。ありがとうございます」
素直に嬉しかった。
オチ
Windows11になってから、ブルーバックを見る機会は確かに減った。Microsoftも学習したのだろう。ただその分、「出たら最後、回復不可能」というケースも増えた印象がある。出現頻度は下がったが、深刻度は上がっている。
今回は運が良かった。それが本音だ。ブルーバックには、運ゲーの側面がある。


