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256GBのSDカードが実は偽物だった。

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sdカード 修理

LINEからご依頼が来た。
「3月27日の18時頃から、スマートフォンで使っているmicroSDカードが急に認識されなくなりました」
AQUOSsense8。microSDカードに保存していた動画・写真・音声データ・PDF。落下も水没もなし。再起動・抜き差し・キャッシュクリア、全部やっても回復しない。
「直前にかかってきた電話の着信音が勝手に変わっていたため気がつきました」
なるほど。着信音もmicroSDに保存していた。それが読めなくなったから、端末が別の音に切り替えた。症状の経緯が整理されていて、とても助かるご連絡だった。市内在住ということで、持ち込みにて対応することになった。

SDカードを拝見する。
トランセンド製。256GB。
トランセンドは台湾の老舗メーカーで、業界では信頼性の高いブランドとして知られている。「トランセンドを買っておけば間違いない」と言われるくらいだ。
さっそく診断を始める。パソコンに接続して状態を確認する。
あれ。
容量がおかしい。
256GBのはずが、全容量を見ても150GBにも満たない。おかしい。読み取りを続けると、カードの状態はRAWだった。RAWというのは、ファイルシステムが壊れているか認識できない状態のことだ。これ自体は珍しくない。データ復旧の現場ではよくある状態で、当店の環境であれば復旧できるケースがほとんどだ。
でも今回は違った。
何度確認しても、救出できるファイルが0件だった。不良セクタも出ていない。物理的な破損ではない。なのに、中が見えない。データが存在しない。
おかしい。

ふと、ある可能性が頭に浮かんだ。
「これ、偽物じゃないか」
調べてみると、出てきた出てきた。トランセンドのSDカードは精巧な偽物が出回っており、シリアル番号まで本物そっくりに偽造されているものが存在するらしい。外見はまったく本物と区別がつかない。でも実際の容量は表示の数分の一しかない。256GBと書いてあっても、実際は32GBや64GBだったりする。
昔、AliExpressで「20GBのSSD」として販売されていた商品が、実際には4GBしかなかった、という話を思い出した。容量を偽って表示する悪質な手口は、今も形を変えて続いている。
このSDカードも、おそらくそれだ。表示は256GB。でも実際の容量は全然違う。そして「本来の容量を超えた領域」に書き込まれたデータは、物理的に存在しない場所に記録されているため、どんな復旧ツールを使っても取り出せない。

お客様に状況をお伝えした。
偽物の存在のこと。RAW状態であること。不良セクタが出ていないにもかかわらずデータが救出できなかった理由。そして、申し訳ないが今回は復旧できないこと。
「まさかトランセンドのSDカードが偽物とは思いませんでした」
そうだ。普通は思わない。トランセンドだから安心、と思って買う。でもその信頼を逆手に取った偽物が、確実に市場に流通している。

今回の件で、一つだけ覚えておいてほしいことがある。
SDカードは、必ず正規の販売店で買ってください。
Amazonのマーケットプレイス、フリマアプリ、格安通販サイト。こういった場所で購入した場合、偽物が混入するリスクがある。価格が相場より安い場合は特に疑ってほしい。
そして、大切なデータはSDカードだけに保存しないでください。スマートフォンのクラウドバックアップ(Googleフォトなど)を有効にしておけば、SDカードが壊れても・偽物だったとしても、写真や動画は守られます。
今回のお客様のデータが戻らなかったことが、ずっと頭に残っている。