「DVD-RとCD-Rにバックアップを取っているんですよ。永久保存で安心ですよね?」
お客様からそう言われた瞬間、修理屋として返す言葉に少し間があいた。
安心ではない。むしろ危ない。
でもこの事実は、大手メーカーも家電量販店もほとんど教えてくれない。CDやDVDを売りたい側が率先して「実は長期保存に向かない」と言うわけがないからだ。
だから修理屋が言う。
CD-R・DVD-Rは、4〜5年で読めなくなる可能性がある
CD-RやDVD-Rは、レーザー光線でデータを「焼き付ける」仕組みだ。一度書き込んだデータは上書きできない。この特性から「消えにくい」「永久保存に向いている」というイメージが広まっている。
でも実際には違う。
CDやDVDの構造を簡単に説明すると、データが記録されている層の上に「反射層」という金属の薄い膜が貼ってある。光学ドライブはこの反射層にレーザーを当てて反射させることでデータを読む。反射層がなければ、データは物理的に読めなくなる。
そしてこの反射層は、4〜5年で劣化・剥離することがある。
実際に試してみた。当店で5〜6年前に保存したCDを取り出し、カッターで軽く切り目を入れてテープを貼り、べりっと剥がしてみた。
反射層からラベルまで、きれいに丸ごと剥がれた。
ディスクはただの透明な円盤になった。当然、ドライブに入れても何も読めない。中のデータは消えたも同然だ。
なぜ劣化するのか
反射層は非常に薄いアルミや金の膜だ。これが湿気・温度変化・紫外線・経年によって酸化・腐食する。保存状態が悪ければさらに早く劣化する。
「ケースに入れて保管していた」という方でも、押し入れや車のトランク、直射日光が当たる場所に置いていれば劣化は加速する。
「ちゃんと保管していたのに読めなくなった」という相談が修理屋には何件も来ている。
では何でバックアップすればいいのか
結論から言う。
①クラウドストレージ(Googleフォト・iCloud・OneDrive)
写真・動画のバックアップとして最も信頼性が高い。スマートフォンで自動バックアップを設定しておけば、端末が壊れてもデータは守られる。Googleフォトは一定容量まで無料で使える。
②外付けHDD・SSD
大量のデータを手元に保管したい場合はこちらだ。ただしHDDも物理的に壊れる。落下・水没・経年劣化で突然読めなくなることがある。クラウドとの併用が理想だ。
③USBメモリ
手軽だが長期保存には向かない。データの読み書きを繰り返すと消耗する。一時的な持ち運びには便利だが、バックアップ用途には使わない方がいい。
共通して言えることは、バックアップは必ず2か所以上に保存することだ。
「CDに焼いてあるから大丈夫」という状態は、バックアップではなく、劣化カウントダウンが始まった状態だ。
今すぐ確認してほしいこと
古いCD-RやDVD-Rに大切なデータが入っている方は、今すぐパソコンに入れて読めるか確認してほしい。読めるうちに別の媒体にコピーしておく必要がある。
「読めなくなってから持ってきた」では、データ復旧の難易度が一気に上がる。光学メディアは物理的に反射層が剥がれた場合、復旧手段がほぼない。
読めるうちに動くことが、唯一の対策だ。
当店では古いCD・DVDのデータ移行、クラウド設定のサポートも承っている。「昔のCDに子供の写真が入っている」「読めるか確認したい」という方はお気軽にご相談ください。
大手メディアが報じないからといって、知らなくていい話ではない。むしろ知らないまま大切な写真や書類を失ってしまう前に、この記事が届いてほしい。


